『緑のハートをもつ女』(ローレンス・ブロック著、田口俊樹訳)を読んだ。
1990年の初版の文庫本なので、30年くらい前に購入した本。さすがに本が傷んできている。
この『緑のハートを持つ女』("The girl with the long green heart")は、初期の単発の作品らしい。そのため、本を整理していて見つけるまで、この本の存在をまったく忘れていた。
著者のローレンス・ブロックは好きな作家で、アル中探偵シリーズや泥棒シリーズはほとんど読んでいる。一部については以前書いたことがあるが、泥棒シリーズはかなり好きで洋書で読みなおしたりしている。
昔馴染みのランスが現われたのは七月の末。彼は偶然知ったある土地成金を標的に、巧妙な詐欺の手口を案出したらしい。質素で堅実な暮らしを心がける四十二歳の元詐欺師には縁のない話のはずだった。だが今の私にも夢はある。自分の店を持ちたいという夢が。それを叶えてくれるかもしれないこの話に、心は動いた・・・・・・!抑制のきいた筆致で描く絶妙のコンゲーム。名手初期の秀作。
この『緑のハートをもつ女』は、詐欺師の話。
主要な登場人物が4人だけ。それで詐欺の実行計画が進んでいく。
登場人物が少なかったり、会話もそこそこあったりして読みやすかった。あと、訳もよかったと思う。ローレンス・ブロックの有名なシリーズ作は、この本と同様に、翻訳はほとんど田口氏となっている。(翻訳物は学生の頃から読んでいたが、いい感じの文章だなと思って初めて翻訳者の存在を意識したのが田口俊樹氏だった)
内容としては、詐欺が実行に移されるところが描かれているので緊張感が持続して面白かった。紹介文に書かれている通り、(傑作ということはないが)秀作だと思う。
ところで、訳者あとがきで書かれていたが、原作のタイトルの"The girl with the long green heart"の"long green"は、ドル札を意味するとのこと。
ローレンス・ブロックのアル中探偵シリーズは、最近シリーズ最終作が出た。
最終作を含めて、2作品ほど読んでいないので近いうちに読もうと思っている。
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