『The Burglar in the Closet』を読んだ。
日本語翻訳版のタイトルは『泥棒はクロゼットのなか』。
ローレンス・ブロックは好きな作家で以前よく読んでいた。この泥棒バーニーシリーズとか私立探偵マット・スカダーなどのシリーズ。もちろん昔読んでいたのは日本語版。
去年、今まで面白かった翻訳ものを原書を読んでみようと思いたったが、それで読み始めたうちの一つがこのバーニイ・ローデンバーシリーズ。実は昨年、第1作の『The Burlglar can't be choosers』(邦題、『泥棒は選べない』)を読んでいる。
内容
泥棒である主人公のバーニイが、泥棒をして事件に巻き込まれる。そして、どこにでも入れるという特技などを使って事件を解決していくというストーリー。
日本語版の背表紙から抜粋。結構説明してあったので、途中半分以上を省略。
いままでに、バーニイ・ローデンバーが手がけた鍵は数しれない。あらゆる状況で、あらゆる種類の鍵をあけてきた。だが、クロゼットのなかに閉じ込められ、外からかけられた鍵と取り組むのは初めてだった。しかも、やっとあけて出た彼を待っていたのは、胸を刺された女の死体。そして、獲得の宝石をつめたバーニイのアタッシュ・ケースはきれいに消えていた!
(中略)
痛快な泥棒物語と謎解きの魅力をあわせもつ新ミステリ―『泥棒は選べない』に続く注目のシリーズ第二弾。
感想
主人公のバーニイ・ローデンバーが泥棒という設定で、盗みに入って殺人事件に巻き込まれるという設定はおもしろい。
ものすごいトリックがあるわけでも、ハラハラどきどきというストーリー展開というわけでもない。でも、軽い感じで、読んでいて楽しい。はしばしにユーモアがある。例えば、こんな感じ。バーニイが盗みに入った時の描写。
A surprising number of people keep money in the kitchen, and many of them tuck it into the fridge. Cold cash, I suppose.
(驚くほど多くの人が台所にお金をしまっている、そして多くが冷蔵庫にしまい込んでいる。思うに、現金を)
Cold cashは、現金という意味もあるようで、それと冷蔵庫の中で冷たいというのがかかっている。だじゃれっぽいが。
バーニイは頭は良さそうであるが、あまり何事にもこだわらない、そしてユーモアがあるキャラクターである。そして主人公以外も登場人物が魅力的である。特にレギュラーメンバーである、お金で買える最も優秀な警官、レイ・カーシュマン。バーニイとレイのやりとりはおもしろい。
このバーニイ・ローデンバーのシリーズを気に入って昔読んでいたが、キャラクター的に自分自身が結構この主人公の影響を受けていると思っている。
お酒
ストーリーの中で、バーニーが情報を集めにバーをはしごするところがある。そこで登場人物がいろんなお酒を注文する。その中でスティンガーとスプリッツアーというカクテルが出てきた。
普段あんまり飲みに行かないが、たまたま英会話スクールメンバーとの飲み会があったので、実際にスティンガーとスプリッツアーを試してみた。スティンガーはミントがきいているが結構強めのカクテルだった。スプリッツアーは白ワインのソーダ割り。
ショートカクテルの方がスティンガー。
英語
設定がニューヨークなので、アメリカの英語。
登場人物の一人が歯医者で、序盤にバーニイが治療してもらうシーンがある。そのあたりはなじみのない単語がいっぱいあった。
下記は、ちょっと気に入った表現。バーニイが情報を集めるために何ヶ所かに電話したら、誰も出なかったときのフレーズ。
The whole world were out to lunch. (世界中の人がランチにでかけてる)
ただ、ここは少し時代を感じさせる。今の世の中だと携帯電話なのでそうそう誰も出ないと言うことはないはず。携帯電話の無い固定電話の時代というのがちょっと出ている。実際この本が出版されたのは70年代後半。
既に、バーニイシリーズのこの後の英語版も購入済み。今後も読んでいく予定である。
泥棒はクロゼットのなか (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 146-5))
- 作者: ローレンス・ブロック,田口俊樹
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1993/04
- メディア: 文庫
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