ローレンス・ブロックの『慈悲深い死』を読み直した。
マット・スカダ―・シリーズの7作目。
アル中となりアルコールを断っているマット・スカダ―が依頼された人探しを進めていく話。
アル中探偵マット・スカダー・シリーズ
酒を断ったスカダーは、安ホテルとアル中自主治療協会の集会とを往復する日々を送っていた。ある日スカダーは、女優を志してニューヨークにやってきた娘の行方を探すように依頼される。ホームレスとヤク中がたむろするマンハッタンの裏街を執念深く調査した未に、彼が暴いた真相とは?異彩を放つアル中探偵を通して、大都会ニューヨークの孤独を哀切に描く人気ハードボイルドの最新作!
1 過去からの弔鐘 (Sins of the Fathers)
2 冬を怖れた女 (In the Midst of Death)
3 一ドル銀貨の遺言 (Time to Murder and Create)
4 暗闇にひと突き (A Stab in the Dark)
5 八百万の死にざま (Eight Million Ways to Die)
6 聖なる酒場の挽歌 (When the Sacred Ginmill Closes)
7 慈悲深い死 (Out on the Cutting Edge)
8 墓場への切符 (A Ticket to the Boneyard)
9 倒錯の舞踏 (A Dance at the Slaughterhouse)
10 獣たちの墓 (A Walk Among the Tombstones)
11 死者との誓い (The Devil Knows You're Dead)
12 死者の長い列 (A Long Line of Dead Men)
13 処刑宣告 (Even the Wicked)
14 皆殺し (Everybody Dies)
15 死への祈り (Hope to Die)
16 すべては死にゆく (All the Flowers Are Dying)
17 償いの報酬 (A Drop of the Hard Stuff)
18 マット・スカダー わが探偵人生 (The Autobiography of Matthew Scudder)
6作目まで読んで、あとしばらく単行本かと思っていたらもう一冊文庫本で『慈悲深い死』が残っていた。
この作品では、マット・スカダ―が女性探しを引き受けるものの、捜査は難航する。
そして、何とか行方知れずの女性の件の真相をあきらかにすると、そのあとに意外な結末が待っていた。
意外過ぎて、一瞬理解できず、2,3度同じ文章を読んでしまった。
本を読んでいてこんなにきれいに騙されたのは久しぶりかもしれない。
非常におもしろかった。
アル中となった『八百万の死にざま』のあと、飲んでいた頃の回顧録として『聖なる酒場の挽歌』が書かれた。
訳者あとがきによると、ローレンス・ブロックは主人公がアル中でなくなって続編は書かないだろうとインタビューで答えていたらしい。
そういう状況で出版されたこの『慈悲深い死』はファンの間では待望の一冊となったとのこと。
ところで、『八百万の死にざま』や『聖なる酒場の挽歌』だったと思うが、世界貿易センターが登場していた。
世界貿易センターの描写があると時代を感じる。
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