『The Mysterious Affair at Syles』をやっと読み終わった。時間はかかったが結構面白かった。
この本はアガサ・クリスティーのデビュー作。99年前の1920年に出版された本。日本語版は『スタイルズ荘の怪事件』。
遠い昔、日本語版を読んだことがあったがほとんど覚えていなかった。
ストーリー
ヘイスティングスが友人のジョンがいるスタイルズ荘に滞在していると、
ジョンの義理の母である女主人が毒(ストリキニーネ)で不審死する。そして近くに偶然滞在していたヘイスティングスの友人であり、有名な探偵であるベルギー人のエルキュール・ポワロがその不可解な死の捜査に乗り出す。
感想
地の文が多めで、会話はそんなに多くなくて、思ったより大変であった。それに知らない単語も多かった。
内容的には、力の入ったデビュー作という気がした。この作品により多くの読者を獲得したというのは納得。最後の2章ぐらいが話が盛り上がり一気に読めた。途中、捜査が停滞して進展がないところでは停滞感があるが、それによって最後の盛り上がりより引き立ってるのかもしれない。
推理小説的な部分もなるほどと感心するが、デビュー作であるのにもかかわらずポアロのキャラクターはかなり魅力的に描かれている。
ちょっと唐突なんじゃないかというところもほんの少しあるが、人間関係のドラマ的な部分もこの本では描かれているが、ポアロはそちらの問題も解決している。
そういう付加的な部分もあったりして読み終わったときにいい感じの余韻があった。
この本で1箇所だけ、灰色の脳細胞("little grey cells")が既に使われていた。
"This affair must all be unravelled from within.” He tapped his forehead. “These little grey cells."
(「この事件はこの中で解き明かされないければならない」彼は額をとんとんとたたいた「この灰色の脳細胞で」)
日本語の『灰色の脳細胞』は有名な言葉となっているが、誰がこれを使い始めたか気になって少し調べたがよくわからなかった。
単語
英語の本を読むときは、まず知らない単語があっても調べないで読み進めるようにしている。その後で、もう一度読み直して知らない単語を確認することがある。この本でも単語を確認していた。
最初そんなに多いと思っていなかったので気軽にメモパッドに書き出したら、結構多くて20枚以上も使ってしまった。しかも裏表両面使っている。
知らない単語は、ストーリー的に重要そうな単語しか意味を確認しないが、確認していたら割合重要なところが理解できていなかったのに気づいた。危なかった。
この本のおまけ
この本には、出版されなかったオリジナルの『12章』が最後におまけとしてついてくる。
本編の12章はポワロが関係者を集めて推理を披露し、犯人を名指しするという章。おまけで最後についている12章の方は、出版されなかったオリジナルバージョン。内容的には変わらないが、設定が法廷ということになっている。法定でポワロが推理を披露して犯人を名指しする。
出版社はアガサ・クリスティーに書き直させたが、それがどうだったか比べられるという趣向になっている。これははっきり言って書き直されたものの方が断然楽しめる。
この関係者を集めて犯人を名指しするというのは、現代でも当たり前に使われている。コナンくんも小五郎のおじさんを利用して同じことをやっている。
フリーの 『The Mysterious Affair at Syles』
この本は、『Project Gutenberg』でフリーで読めるので、興味のある方は眺めてみるのもよいかも。アガサ・クリスティーの本はほとんど載ってないがこの本は載っている。
最後に
霜月氏の本では、『スタイルズ荘の怪事件』の評価は★★★★である。
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