『喧嘩(すてごろ)』を読んだ。今年4月に文庫化されている。さすがに面白い。疫病神シリーズの第6作。
前作の『破門』では、直木賞も受賞している。
タイトルの『すてごろ』は、素手の喧嘩のこと。
建設コンサルタントの二宮と前作で組を破門された桑原が主人公のストーリー。二宮のオフィスがアメリカ村付近にあり設定は大阪。そのため登場人物は関西弁。今回は組を破門されている桑原が今までほどイケイケではなくてそのあたりも味わい深い。
背表紙から。
“サバキ”を生業とする二宮は、元同級で議員秘書の長原と再会。大阪府議会議員補欠選挙での票集めを巡り暴力団組織・麒林会と揉め、事務所に火炎瓶が投げ込まれたと聞かされる。“その筋”の人脈で抑えてほしいという依頼を二宮は四百万で請け負うが、会には百人あまりの組員を抱える鳴友会が付いていた。二蝶会を破門された桑原に話を持ち込むが、元イケイケ極道の桑原もかつてない窮地に立たされ―。「疫病神」シリーズ第6弾!
感想
いつもどおり面白かった。期待通り楽しめた。今回の作品はストーリー的にいつもより複雑でなくバランス的に良かった。このシリーズ、暴力団の抗争による一触即発のシーンや緊迫した戦闘シーンもありスリリングで話に引き込まれるが、一方で背景となる利権絡みのプロットなどは結構しっかりした構成でちょっと複雑である。そのため理解しながら読まないといけない。しかし今回の作品は普段ほどはややこしくなかった。
この作者の本は2年ほど前に、疫病神シリーズを中心にまとめて読んでいた時期があった。今回久しぶりに黒川氏の本であったがやはりおもしろかった。
疫病神シリーズ
疫病神シリーズは以下の作品。『疫病神』は一作目であり、印象に残っているが、シリーズ2作目の『国境』も印象が強い。北朝鮮に行くというストーリー。北朝鮮での描写が印象的だった。このシリーズ、アマゾンのレビューでもさすがにどの作品も高評価となっている。
1疫病神
2国境
3暗礁
4螻蛄
5破門
6喧嘩
7泥濘
まとめ
この疫病神シリーズは素晴らしいエンターテイメントであり、本の価格の価値は十分にある、と思う。
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