今年、『アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕』を書店で見かけて買った。日本推理作家協会賞(評論その他の部門)、本格ミステリ大賞(評論・研究部門)受賞作。これはなかなかやばい本である。昔、日本語翻訳で有名作品をいくつか読んだ程度であったが、この本ではクリスティーの作品が全て解説してあって、色々読みたくなった。今となっては原書で。翻訳を通さずに読むのは、クリスティーの書いた文章をそのまま読んでる、という嬉しさがある。
最初は、なれるためにも読んだことのある本からスタート。『The ABC Murders』はかなり前に呼んだが、メイントリックが記憶にあって大まかな話の流れは覚えていた。そんなこともありそこそこ読めた。会話も割合多くそれで読みやすかったかもしれない。ただ、登場人物はまあまあ出てくるので、整理して呼んだほうがよいと思う。以前、筒井康隆氏が読書について、登場人物を書き出して整理するみたいなことを書いていた記憶があるが、それを実際にやってみると結構楽しい気がする。ストーリーも追いやすくなるし。
ストーリー以外で面白かったのは、どんな犯罪がいいかという議論をポアロとヘイスティングスがする場面があり、ポアロが説明していたのが、クリスティーの別の作品を指してるんじゃないか、というところ。あと、作中でシャーロックホームズ(虚構の人物)の名前が出てきたり、Jack the Ripper(実際の犯罪者)が出てきたりしたのも興味深かった。両方、イギリスにまつわることではあるが。
もう一冊。『Murder On The Orient Express』は昨年末に映画の公開にあわせて発売されて、昨年購入した本。一度読み始めたが、ちょっと難しくて断念していたが、クリスティーを読むモチベーションが上がったので再開。何が難しかったかというと、端々にフランス語のセリフが出てくるところ。結局、フランス語はあんまり気にしないで、読むことにした。講談社英語文庫の本なので、後ろに注釈がついててそこにはフランス語のも含まれていたがあんまり確認しなかった・・・。
この本でも、途中まで登場人物を書き出していたが、Part2の最初のところで、客室のレイアウトと乗客名が書かれた絵があったので、自分で書き出す必要が無くなった。
この本も昔日本語翻訳で読んだことがあって、犯人を覚えていた。そのため、作者がどのように伏線を張ってるかみたいな観点で読めて面白かった。印象的な場面は、ポワロがある人物に尋問する際、自分は名の知れた探偵だけど聞いたことあるかと尋ねて、知らないと言われるシーン。作者はポワロをちょっとコメディっぽい感じにしている。そして、最後のページも印象的。個人的には(詳しくかけないが)このエンディングは好き。読み終わった後、いい余韻に浸れた。
この本は、透明のブックカバーを着けて読んでいた。(透明なので分かりにくいが上の写真でもカバーはつけている。) そのためかどうかわからないが、英会話スクール関係の人と話していてこんな本読んでるんです、と手渡したら、きれいな本ですね、というコメントをもらった。
この透明のブックカバーは、あるノートのオプションとして売られているカバー。サイズはぎりぎり何とか入った感じ。個体差で入らないことはあるかもしれないが、自分のはなんとか入ってジャストフィット。ノートの方は知らない単語や気になる表現などを書き出すために使っていたが、段々やらなくなってきた。思った以上に時間がかかって、多読の妨げになりそうなので。
ちなみに、霜月氏の評価では、『The ABC Murders』(ABC殺人事件)が★★★★☆, 『Murder On The Orient Express』(オリエント急行殺人事件)が★★★★。
アガサ・クリスティー完全攻略〔決定版〕 (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)
- 作者: 霜月蒼
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- 作者: Agatha Christie
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オリエント急行殺人事件 MURDER ON THE ORIENT EXPRESS (KODANSHA ENGLISH LIBRARY)
- 作者: アガサ・クリスティ
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