翻訳は、出版翻訳、映像翻訳、実務翻訳のように大きく3つに分けら、その上さらに細分化される専門職の世界である。
最初からあんまり絞りすぎないようにしつつも、一方なんでもかんでも手を出さないようにはしている。
映像翻訳には近寄らないようにしたが、最近ちょっと興味が出てきて初心者向けくらいの本を読みたくなった。そして見つけたのがこの『字幕屋のホンネ』である。
内容
この本を開くと冒頭に書かれているが、この本は『字幕屋は銀幕の片隅で日本語が変だと叫ぶ』(2007年光文社刊)を加筆・修正して文庫化されたものである。
アマゾンのレビューを見ていると、著者の太田直子氏は既に亡くなられたようで、Wikipediaを見てみると2017年に亡くなられている。この本は、2019年2月に出版されているので、加筆・修正は出版社がしたということなんだろうか。
背表紙より。
日本の字幕は世界一クオリティが高い。ただし、吹き替えと比べて制限があり、セリフの内容を100%は伝えきれない。だからこそ翻訳者の腕の見せ所。セリフは1秒4文字以内。「!」「?」に頼らない。平均1000あるセリフをどう要約翻訳していくか。ハリウッド映画から中東映画まで、字幕屋の仕事を知れば、映画はもっと楽しくなる。
感想
ユーモアを交えて書かれて読みやすい本であった。これ以上やられるとちょっと嫌かもというくらいのところではあったが、語られている内容が深いところもあったりしてバランスがとれていたと思う。
映画はそれほどは見ないが、見に行くのは基本洋画で、字幕版があれば字幕版を見る。それに、アマゾンプライムで海外ドラマや映画を見るときもあれば字幕版を見るので、そういう意味でこの本の内容は楽しめた。
映画字幕翻訳の苦労話などが中心に書かれていて、この原文をどう訳すか、みたいなところはなくて気軽に読めた。実際に訳してみないと身にならない本は、訳すのは大変だし、訳さないと深く理解できなかったりするので、読むのにエネルギーがいる。(実際にその手の翻訳の未読本が2冊積まれた状態になっている)
字幕翻訳はセリフをそのまま翻訳したのではダメで、セリフは1秒4文字以内という制限があるとのことで、いかに言葉を削って内容を伝えるか考え出すとのこと。非常に大変そうである。
全然知らなかった字幕翻訳の裏側を知れて興味深かった。でも、知ってしまうと次回映画を見に行った時にいろんなことを考えてしまうので、知らないほうがよかったかなとも思ったりした。
それでなくても、字幕を読んでるのかセリフを聞いて理解しているのかよくわかない状況に陥ったりするので。
まとめ
気軽に読める本であり、映画を字幕で見るという人で、字幕翻訳の裏側を知りたい人には楽しく読める本ではないかと思う。
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少し前に、Star Warsのシリーズ最終作『スカイウォーカーの夜明け』を見てきた。有名なテーマ曲に乗って、冒頭の文字が宇宙空間に流れていくところ、今回は頑張って字幕ではなく英文を読んでみた。必死で目で追ってなんとなく理解はできた。
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