『法廷ミステリーアンソロジー、逆転の切り札』を読んだのがきっかけで、すぐに『龍の耳を君に』を読んだ。アンソロジーに収録されていた作品『弁護側の証人』が、『龍の耳を君に』に収録されている。
今年の夏ごろ、その続編の『慟哭は聴こえない』を読んだ。
『龍の耳を君に』、『慟哭は聴こえない』はそれぞれデフ・ヴォイスシリーズの第二弾、第三弾の連作集。
主人公は、ろう者の親から生まれた聴こえる子である荒井尚人で、手話通訳士として関わる事件やろう者の日常生活が描かれている。
荒井尚人は、ろう者の親から生まれた聴こえる子ーコーダであることに悩みつつも、ろう者の日常生活のためのコミュニティ通訳や、法廷・察での手話通訳に携わっている。場面緘黙症で話せない少年の手話が殺人事件の目撃証言として認められるかなど、荒井が関わる三つの事件を優しい眼差しで描いた連作集。「デフ・ヴォイス法廷の手話通訳士』に連なる感涙のシリーズ第二弾。
ろう者の妊婦から医療通訳の依頼を受けた手話通訳士・荒井尚人。専門知識が必要で、しかも産婦人科であるために苦戦しながらも丁寧に対応したのだが、翌日、彼女から SOS が届きーー。ろう者による緊急通報の困難を問題提起した表題作ほか、急死したろう者の素性を何森刑事と共に探る旅路を描く「静かな男」など、荒井が出合った四つの事件。<デフ・ヴォイス>シリーズ第三弾。
デフ・ヴォイスシリーズはかなり良いシリーズだと思う。
このシリーズの良さが『龍の耳を君に』の解説でうまく説明されていた。
読んでみたら、想像とはまったくちがうのである!たしかに、ろう者や手話の知識を用いたミステリであり、知らなかった世界について知ることができるという知的興奮と、ミステリとしての面白さの両方が味わえる本だ。
だけど、これまでに読んだその種の本と、まったく手応えがちがう。
どうちがうかの説明がとても難しい。こういう言い方をすると、ありきたりになってしまうが、ろう者や手話の知識のあつかい方がとても真摯で熱いのだ。
手話に種類があるということとか、生まれつき聞こえない人と途中から聞こえなくなった人で状況が違うということとか全然知らなかった。色々考えさせられる本だと思う。
『龍の耳を君に』の帯コメントに「丸山さんのこのシリーズを読むと、昨日まで見えていたのと世界が変わる」と書かれているが、その通りだと思った。
自分は最近まで全然知らなかったが、デフ・ヴォイスシリーズは昨年末にドラマ化されていた。
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