最初の作品から読み返しているローレンス・ブロックのマット・スカダ―・シリーズ。
17作目の『償いの報酬』(A Drop of the Hard Stuff)を読み終えた。
『償いの報酬』は2012年に出版されているが、購入したのは昨年。
この作品は今回初めて読んだ。
単行本はおそらく出ていなくて、文庫本だけが出ているみたい。
禁酒を始めてまもなく1年が経とうとしていた。いつものようにAAの集会に参加したスカダーは、幼なじみで犯罪常習者のジャック・エラリーに声を掛けられる。ジャックは禁酒プログラムとして、過去に犯した罪を償う“埋め合わせ"を実践しているという。そんな矢先、銃弾を頭部に撃ち込まれ何者かに殺されてしまう。スカダーはジャックの遺した「埋め合わせ」リストの5人について調査を始めるが……。名作『八百万の死にざま』後をノスタルジックに描いたシリーズ最新作。

1 過去からの弔鐘 (Sins of the Fathers)
2 冬を怖れた女 (In the Midst of Death)
3 一ドル銀貨の遺言 (Time to Murder and Create)
4 暗闇にひと突き (A Stab in the Dark)
5 八百万の死にざま (Eight Million Ways to Die)
6 聖なる酒場の挽歌 (When the Sacred Ginmill Closes)
7 慈悲深い死 (Out on the Cutting Edge)
8 墓場への切符 (A Ticket to the Boneyard)
9 倒錯の舞踏 (A Dance at the Slaughterhouse)
10 獣たちの墓 (A Walk Among the Tombstones)
11 死者との誓い (The Devil Knows You're Dead)
12 死者の長い列 (A Long Line of Dead Men)
13 処刑宣告 (Even the Wicked)
14 皆殺し (Everybody Dies)
15 死への祈り (Hope to Die)
16 すべては死にゆく (All the Flowers Are Dying)
17 償いの報酬 (A Drop of the Hard Stuff)
18 マット・スカダー わが探偵人生 (The Autobiography of Matthew Scudder)
この作品は、70歳を超えているマット・スカダ-が大昔の事件を友人であるミック・バルーに語るという設定になっている。マット・スカダ-が禁酒を始めた約30年ほど前の事件が描かれている。
このマット・スカダ-のシリーズでは、マット・スカダ-がアルコール中毒になり、AA(Alcoholics Anonymous、禁酒会)に参加して禁酒していることが重要な要素となっている。『八百万の死にざま』のラストはそのアル中に関連する部分で非常に感動的で印象に残るものになっている。
この本の事件は、そのAAの活動内容に大きく関わっている。AAの禁酒プログラムを実践したために殺人事件が起こってしまうというような事件。
マット・スカダーがいつものようになかなか犯人に辿りつけず調査を進めていきながら、途中で事件とは関係のない話も入っていたりして、面白く読めた。シリーズに登場していた女性とどのように関係が壊れていったかということも描かれていた。
ただ、最後のほうが少しわかりにくいところがあった。よくわからなかったので少し読み返してしまった。この本のレビューを見ていると同じ感想を持っていた人がいたので、そういう人は一定数いるような気がする。
そういう気になるところもあったが、このシリーズはニューヨークでAAに参加して禁酒しながら生きていくマット・スカダ-の世界観が面白さであり、その点ではシリーズの他の作品と同様に楽しむことができた。
昔の事件を語っている主人公のマット・スカダ-がもう70歳を超えている。もう犯罪者たちと格闘などもできなさそう。
昔は、マット・スカダ-が電話をあちこちかけて、色んな所に聞き込みに行って調査を進めていた。マット・スカダ-が年をとるにつれて、ポケベルが出てきたり、パソコンが出てきたり、モデムでの電話回線でのネットワーク通信が出てきたり、時代はどんどん変わっていき、Googleで情報を集めるところまできた。
年齢的なこともありつつ、世の中の変化によって、このハードボイルドのマット・スカダ-シリーズはそろそろ幕なのかなという印象があった。
次の『マット・スカダー わが探偵人生』がシリーズ最終作。
この作品と同じように、昔のエピソードなどが語られていてシリーズが締めくくられているらしい。
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